僕の理想の教師像を話します。
それはズバリ、映画『ベスト・キッド』に出てくる指導者役のミヤギさんです。
古い映画で、何回かリメイクされ、リメイク版ではジャッキーチェンが指導者役をしているようです。
僕は、オリジナル(一番最初の)『ベスト・キッド』のミヤギさんがとても印象深く、こんな先生になりたいと常に思っています。
決して主役にならないミヤギさん。
主人公はダニエル君。ミヤギさんは、ダニエル君に頼まれ空手を教えます。
ダニエル君は、いじめっ子集団のリーダー格のジョニーに勝ちたくてミヤギさんに教えを請います。そして、最後に空手トーナメントの決勝で対決し、ダニエル君が勝利するのです。
ダニエル君の勝利は、ミヤギさんの指導があってのもの。しかし、決して表舞台に出ることなく、勝利の瞬間も陰から嬉しそうな笑みを浮かべて、喜ぶダニエル君を見つめているのです。
ジョニーの空手道場の先生は、同じ道着を着て、道場の生徒に偉そうに指示を出し、自分が教えているんだというのを前面に押し出していました。
「あなたは主役じゃないでしょ。頑張っているのは道場の生徒たちなんだから」と画面に突っ込みたくなる感じです。冷静に映画を見れば、上手い対比ですよね。
学校での主役は生徒。生徒が活躍して、生徒同士が喜び合い、僕はそれらを陰からニヤニヤして見ている先生でありたいと思っています。
基礎を大切にするミヤギさん。
『ベスト・キッド』の名場面の1つは「ワックスを塗って、ふき取る…」「ペンキを下から上、上から下…」でしょう。
ダニエル君に、ミヤギさんの車のワックスがけをさせたり、ペンキを塗らせたりしたのです。しかし、それが空手の防御の型を習得させるための練習になっていたというものでした。
物語の中ですが、そんな上達するための基礎を大切にし、しっかり教えるミヤギさんは、とぼけた感じでしたが、考えが深い。
生徒は、未知なる大きな成長を期待できる存在です。その成長はどのくらい大きく、どの方向にいくのか想像ができません。先生は、その大きな成長の基礎になるものを教えていくことが大切だと考えています。コミュニケーション能力であったり、生き方を考える基礎であったり…。
ダニエル君に寄り添うミヤギさん
ダニエル君は、時にわがままでミヤギさんを困らせるシーンがあります。
一番困らせたのは「こんなことやって、勝てるわけないよ。早く空手教えてよ」と、ミヤギさんに迫った場面です。
その時の葛藤(まだ実戦的な練習は早い、しかし基礎ばかりでつまらないのも分かる)が、映画ではとても見事に表現されていました。
その結果、投げ出す寸前のダニエル君に、実戦的な練習を教える決断をするミヤギさん。ダニエル君の心情に寄り添ったギリギリのところだったはずです。基礎から実戦へのタイミングはそこしかなかったのでしょう。
生徒の状況、心情に寄り添って、その時の生徒に合った対応を考え、実行できる先生は素晴らしいと思うのです。

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