行事中心からの脱却!学びの軌跡を日常に刻む

行事の多い時期が過ぎちゃった。
合唱コンクールの活動はどの学級にも負けないくらい頑張ってたけど、
これから、どうやって学級を盛り上げていけばいいんだろう。

こんな疑問を解決します。

本記事の内容
  • 行事中心からの脱却のススメ
  • 担任としての行事の捉え方を再考
  • 日常生活の向上を目指す取組の具体例
  • 行事中心から脱却し、学びの軌跡を日常に刻む

担任の先生は、必ずこの壁にぶち当たります。僕も初めの頃は、行事がないと何を学級の生徒に向けて話せばいいか毎日悩んでいました。

しかし、その視点、考え方を変化させていくだけで、学級は成長し、行事がない時期にも生徒はいきいきと活動するようになります。

この記事を読めば、視点や考え方が分かるだけではなく、後半では行事のない日常における、担任の効果的な仕掛けを例を挙げて紹します。

では、行きましょう!

目次

行事中心からの脱却のススメ

担任なら、誰でもぶち当たる壁があります。その1つが、行事のない時の学級での取組です。

担任をしていると、次のような生徒の様子を見たことがあるでしょう。

  • 行事の取組みでは、いきいきしていたのに、それが終わると抜け殻になっている
  • 行事がない時期に、帰りの会の時間が余ってしまう
  • 学級委員が、何をしていいのか分からないと悩む

そんな姿を見ると、何とかしようと思うでしょう。

その対策として、こんなことを考えてしまうのも分かります。

  • 新しい取組をつくる
  • 次の行事に向けて取組を始める
  • 行事がないときは、学習に目を向ける
  • 楽しい活動としてレクリエーションをつくる

これらは、全て付け焼刃です。

そうなってしまう原因は、先生方の考え方が逆だからです。

ミスタ

僕も最初は逆の考え方をして、苦労しました。
少しずつ考え方を整理していけば、大丈夫。
悩むこともなくなりますよ。

行事の捉え方を再考

結論から言います。

担任は、行事を「生徒たちの心(考え方)が成長するための1つの仕掛け」と捉えましょう。

合唱コンクールを想像してみましょう。

  • 歌が上手な生徒が揃い、先生の上手な合唱指導で優勝をした学級
  • 優勝できなかったが、生徒たちが試行錯誤し、練習よりも話し合いに時間を費やした学級

「どちらの学級の生徒が成長していると思いますか?」

先生は、合唱コンクール優勝に対して責任を負っているのではなく、生徒の成長に対して責任を負っているのです。

言い換えれば、行事は優勝するためではなく、生徒が成長するためという考え方にシフトすべきなのです。

行事は生徒を成長させる手段

生徒は、授業や行事、係活動や部活動など様々な活動を通して成長します。

行事は、「様々な活動を通して」と示した通り、手段の1つです。

行事があって、日常があるのではないということです。

理解が進むように、いくつか例を挙げてみます。

  • 体育祭を通して、あの学級は雰囲気が変わった。授業をやっていても仲がよく、緊張感なくのびのび学んでいる感じになった。
  • ○○君は、あの授業の単元を通してプレゼンテーションする力や自信がついたのか、「みんなの前で話すことは苦じゃなくなった。むしろ自分の得意分野かも」と話していたよ。
  • ○○さんは、何だか堂々としてきたね。きっと委員会活動で地道にやっていることが、みんなに分かってもらえて、自信がついてきたのかな。

学級は、行事だけに向かって活動する集団ではありません。多様な活動をする集団です。

行事だけを見ている担任の先生は、ぜひ考え方を変えて、「手段の1つ」として捉えてみて下さい。

日常生活の向上を軸にして行事を仕掛ける

生徒が成長するために、行事で何を仕掛けていくかを考えましょう

毎時間の授業において、本時の目標やねらいがありますよね。

係活動や委員会活動においては、生徒にこんな力をつけてほしいという願いがありますよね。

行事においても同じです。

「その行事では、取組を通して生徒にどんな力をつけてほしい」ということを考えて、企画し、計画し、寄り添って活動していくべきです。

教育課程にあるものは、生徒の成長のために組み込まれたもなので、何か意味があるはずと思えばいいかもしれません。

ミスタ

「ゴールを見据えてスタートせよ」と言うこと。
Think of the end before you begin.です。

ここからは、少し余談になりますが、お付き合いください。

行事が勝負事となると、熱くなる担任の先生がいます。とても素晴らしいと思います。

しかし、優勝する生徒を育成することを目的にしてはいけません。

それだと、合唱コンクールだと歌唱力を、体育祭であれば走力を、バスケットボール大会であればシュート力をつけることになります。

それは、音楽や体育の授業、部活動でやることです。今は学校行事でつける力を考えています。

「集団の中の1人として、どう振る舞うか」「プレイヤーとして、また運営者として、応援者としての立ち振る舞いとはどういうものか」「自分たちも対戦相手も、協力者もみんな満足できるにはどうしたらいいか」などを考えられるようになる絶好の機会なのです。

生徒は優勝を目指します。担任も優勝を目指します。しかし、担任は優勝よりも大切なことを目指した中での話なのです。

生徒の成長を一般化するために担任が仕掛けていく

生徒の力として定着させ、それを本人が認識できるように、別の活動に置き換えていく

「行事で力をつけたよ」と先生が言っても、生徒が言っても、本当なのでしょうか?

例えば、次のようなことができなければ、本当に力がついたとは言えませんよね。

  • 学級の取組で、言いにくいことでも必要であれば指摘することができた生徒は、委員会活動でも同じことができるのか?
  • 苦手だけど、学級の仲間の頑張りに応えて、努力を続けた生徒は、苦手な教科の授業でも仲間との協働学習で努力できるのか?
  • 計画の大切さを理解し、様々なことを考慮して計画を立てた生徒は、別の企画の時に綿密な計画をつくれるのだろうか?

これを確かめる作業と言うべきか、更なる成長を生む仕掛けと言うべきか、もう1つハードルを設ける必要があると言うわけです。

これを、行事の取組みのあと、何もないと思ってしまう時期に仕掛けていくんです。

ミスタ

これをやっていると、行事がない、何もないなんて言っている暇がないくらい、時間が必要になりますよ。

日常生活の向上を目指す取組の具体例

行事は生徒を成長させる手段という具体例

行事で培った力を捉え、日常の他の活動で活かすことで成長を促す

担任が学級の成長を日常で活かす、大まかな手順は以下の通りです。

  • 担任が、行事を通して「成長したこと」を捉える
  • その「成長したこと」を生徒と担任で共通理解を図る
  • その「成長したこと」を掲示や学級通信、帰りの会などで定着を図る
  • その後の日常生活で、「成長したこと」を活かす場面を見つけ、思い出させる

まずは、「成長したこと」を生徒の振り返り作文や学活の話し合いを通して掴みます。

例えば、こんな感じです。

  • 厳しいことでも、学級が成長できるように、口に出して言い合うことができた。みんなも真剣に聞いてくれた。それは学級のためを思ってやったことだから。
  • 学級のために話し合える仲間に成長
  • 信頼できる仲間
ミスタ

長すぎず、短すぎずがよいのですが、その辺りの感覚は、やっていけば磨かれるので考え過ぎずにいきましょう。

そして、生徒と共通理解したり、学級通信や掲示で定着していきます。

この「学級のために話し合える仲間」になったことが、君たちの成長だね。それは素晴らしいことだよ。最初に思い切って発言した○○さんは、勇気あったと思うけど、それを真剣に受け止めたみんながいる。そして、それに応えた○○君、言いづらくても反論した○○さん。そんな仲間と残りの時間を過ごしたら、とても大きな成果がご褒美としてついてくるんじゃないかな。

ここまでが準備編、ここからが日常への活用編

ある日常の帰りの会で。

今日の国語の授業は、上手くいかなかったって国語係から聞いたけど…国語係はどうしたくて、どうしてほしいの?…学習委員はそのことをどう捉えて、どうしようと思っているの?学級委員の○○さん、君たちが、あの行事の時に成長した力は何だった?

こんな感じです。

生徒は、一斉に掲示物を見たり、学級通信の束を見返します。その時間は発言がないにしても、日記に記載があったり、朝の会や国語の時間に動きがあるはずです。

それを捉えて、学級みんなの理想の日常に向かっていくようにできます。

これを行事ない時期の日常生活でやればいいってことですね。

日常生活の向上を軸にして行事を考えた具体例

生徒の何を成長させるかを考えて、行事を仕掛けていく

例えば、次のようにねらいを考えたとします。

合唱コンクールの取組で、ある生徒は「学級のことを考えて言いにくいことも指摘できる」ように。ある生徒は、それを「正面から受け止めることができる」ようになってほしい。

担任は、次のようなチャンスを伺ったり、仕掛けをつくったりするでしょう。

  • 他の生徒に対して、不満をもっている子はいないかな
  • 口数は少ないけど、学級への思いが強い子はいないかな
  • 学級委員には、学級の活動を俯瞰して見るように伝えておかなきゃ
  • あの子の頑張りが伝わるように、練習中の真剣な表情を見るように言っておこう

そして、話し合いの中で「学級のために話し合える仲間」に近づいたのであれば、学級が合唱コンクールの取組でつけた力として共有し、日常生活の向上に活かすことができます。

ミスタ

逆に言えば、
日常生活に必要な力、この生徒たちに必要な力が何かを考え、それを行事でつかみ取らせようと考えるのもOKですね。

生徒の成長を一般化するために担任が仕掛ける具体例

行事で付けた力を、別の活動で発揮できるように仕掛ける

行事でつけた力は、学級の仲間だけ、その行事だけで発揮できるのでは、本物ではありません。

別の活動で発揮出来たら、その生徒が身に付けた力と言えるでしょう。

例えば、合唱コンクールで「学級のことを考えて言いにくいことでも指摘できるようになった」生徒。

次のように仕掛けをつくります。

  • 担任が、委員会顧問に話を聞き、その生徒の活動の様子をリサーチします。
  • 担任が、活動がさらに活発になるようにアイデアをもちます。
  • 担任が、その生徒と雑談の中で、委員会活動の話題を出し、アイデアについて、さりげなく話します。
  • 担任が、委員会顧問に話し合いや活動で、その生徒から発言があったら教えてほしいいと依頼します。
  • 「発言していたよ」と聞けばOK。それがなければ、雑談の中で「言いにくいことでも、委員会のために発言していかなきゃね」と、背中を押してあげたり、委員長にフォローを依頼したりします。

別の活動においても、同じことができるお膳立てをしてあげるってことですね。

きっと、委員会顧問や委員長は、よく見ていてくれるし、認めてくれるでしょう。

本人が、「私のいいところは…」と語ったり、級友が「あの子のいいところは…」と語ったりしてくれた日には、文句なく力がついたと言えるでしょう。

行事中心から脱却し、学びの軌跡を日常に刻む

以前、僕も行事中心に学級経営をしていた時期がありました。そして苦しい思いをしてきました。

しかし、日常生活の向上=生徒の心や考え方の向上 のために行事を含めた様々な活動があると考え方を変えることにより、苦しみから解放されました。

そう考えると、行事は力強い味方です。行事そのもにに、生徒が成長するパワーを持っているからです。

そのパワーを、生徒の成長に利用するのです。

考え方が変わった僕は、行事がありすぎると感じるようになったことを付け加えて終わります。

ぜひ挑戦してみて下さい。

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