子どもが見通して動くための学級カレンダー

学級では、いくつもの活動が同時に進んでいる。

百人一首大会、健康診断、社会科見学。さらに、音楽発表会や交流集会の準備が重なることもある。

その中で子どもに必要になるのは、教師から言われたことを、その都度こなす力だけではない。

先を見通して活動する力。

本番から逆算して計画する力。

複数の活動を同時に進めながら、順序や時間を調整する力。

こうした力を子どもが身に付けていくために、教師はどのように働きかけるべきなのか。

目次

予定を知ることと、見通しをもつことは違う

教師が予定を伝えれば、子どもは次に何があるのかを知ることができる。

しかし、それだけでは、見通しをもって活動しているとは言えない。

見通しをもつとは、本番までに必要なことを考え、今の行動を決めることである。

百人一首大会まで、あと二週間ある。

どのくらい練習するのか。

班の目標やプレ大会の日をいつにするのか。

社会科見学や音楽発表会の準備と重なるなら、何を先に進めるのか。

子ども自身が、先にある活動と今の行動をつなげて考える必要がある。

教師が活動の直前に指示を出すだけでは、子どもは、教師の指示を待って動く存在のままである。

子どもたちが、自分たちの見通しをつくる

そこで必要になるのが、子どもたちのカレンダーである。

カレンダーには、練習、準備、確認、本番、振り返りなど、子どもたち自身が行うことを本番から逆算して並べる。

さらに、その時期に進んでいる複数の活動を、同じ時間軸に載せる。

カレンダーを見れば、本番までに残された時間と、同時に進める活動が見えてくる。

「社会科見学の準備も始まるから、百人一首の練習を早めに進めよう」

「音楽発表会の練習と重なるから、こちらは今日やっておこう」

このように考え始めたとき、カレンダーは予定を知らせる掲示物ではなくなる。

子どもたちが、自分たちの時間を見通し、計画し、調整するための道具になる。

活動をリードする子どもには、さらにさかのぼった見通しが必要になる

百人一首大会の実行委員も、大会に参加する子どもの一人である。

大会を企画・運営する実行委員であると同時に、練習して大会に参加するプレイヤーでもある。

保健委員、しおり係、音楽リーダー、学級委員も、一人の子どもとして活動しながら、仲間をリードする役割を同時に担う。

だから、活動をリードする子どもには、子どもたち全体のカレンダーに加えて、自分たちが先に行うことを載せたカレンダーが必要になる。

教師が完成したカレンダーを渡すのではない。

本番までに何が必要なのか。

学級へいつ提案するのか。

その前に、どのような準備や打合せが必要なのか。

複数の活動が重なったとき、何を先に進めるのか。

教師は問いを投げ、実行委員や各委員が自分たちでカレンダーをつくれるように働きかける。

自分で見通しをつくる経験そのものが、子どもの力になる。

教師は、複数の立場と活動を見通しているか

子どもたちが、自分たちの見通しをつくる。

活動をリードする子どもが、さらにさかのぼって見通しをつくる。

そのためには、教師自身が、その両方を含む全体の工程を見通していなければならない。

教師のカレンダーには、次の三つを同じ時間軸に並べる。

子どもたちの活動。

実行委員や各委員の活動。

教師による働きかけや調整。

誰が、いつ動き始めるのか。

その前に教師はいつ働きかけ、誰と何を調整するのか。

活動によっては、さらに前に動く立場もある。

たとえば社会科見学なら、学年主任がねらいや日程を担任へ示す。それを受けて担任が学級での活動を構想し、その後、しおり係や子どもたちが動き始める。

学年主任や行事主任が関わる活動では、四つ目の立場まで見通す必要がある。

教師が扱う活動は一つではない。

百人一首大会のリハーサルと、保健委員との打合せが同じ日に重なることもある。

社会科見学の準備と、音楽発表会の練習計画が並行することもある。

同じ日に重なれば、両方できるのかを考える。難しければ、一方を前後にずらす。

健康診断のように、短い期間と少ない関わりで進む活動もある。社会科見学のように、複数の立場が長い時間をかけて準備する活動もある。

複数の活動と立場を時間軸に並べて初めて、その違いや重なりを調整できる。

カレンダーをつくることが目的ではない

複数の立場と活動を、頭の中で正確に見通せるなら、それでもよい。

しかし、活動が重なり、関わる人が増えれば、頭の中だけでは曖昧になる。

だから、書き出す。

子どもたちのカレンダー。

活動をリードする子どものカレンダー。

それらすべてを支える教師のカレンダー。

表をつくること自体が目的なのではない。

子どもが、先を見通して活動する力、本番から逆算して計画する力、複数の活動を同時に進める力を身に付けていく。そのために、教師は複数の立場と活動を見通し、実行委員や子どもたちが自分で見通しをつくれるように働きかける。

学級カレンダーは、予定を管理するためだけのものではない。

子どもが自分たちで見通しをつくるための、思考の道具なのである。

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