担任は、自分の学級の生徒が活発に手を挙げて、発表して、反応して・・・という姿があると嬉しいものです。手を挙げることや発表することをどう捉えるかは、またの機会に考えるとして、今回はたくさんの生徒が積極的に手を挙げる学級を目指した取組を考えます。
手を挙げたことがない子って?
生徒の中には、1回も手を挙げずに毎日過ごす子がいます。
その子たちに直接聞いてみたことがありますか?「どうして手を挙げないの?」と。
- 間違っていたらいやだ
- 注目されたくない
- 面倒だ
- みんなが挙げていないから
- そもそも手を挙げることが必要だと思わない
手を挙げない生徒たちは、こんなことを言います。
半分言い訳のように聞こえますが、人の言動には、複数の気持ちがあものなので、これをいい訳だ、として思考を停止することはいけません。
生徒の言うことは素直に、いろいろな気持ちから手を挙げないと思うが、その中にこんな気持ちがあるんだな、と捉えましょう。
そう捉えながら、その子たちをよく観察しました。すると、少人数だったり、決まった集団だったりすると積極的に自分の意見を言う子がたくさんいました。
要するに、集団によるということですね。
人数と人間関係が関係します。人数が多くなると、挙手できなくなっていくのは自然。僕たちも同じですね。しかし学級くらいなら、自分の意見を言いたいときに躊躇なく手を挙げさせてあげたいですよね。
「もっと手を挙げて発言しよう」と言わない方がいい
そんなこと言ったって、と生徒は思っています。
先生の思いを聞いても、変わりません。先生が言うから挙げたとしたら、発言後にいい思いをもつようにしなければなりません。
「勇気を出して、発表してよかった。・・・」と。
しかし、何もなかったら、「先生の言うこと聞いて損した」となる可能性もあります。
そのリスクを考えると、別の方法がいいと思うのです。
「発表してよかった」と、生徒が思う仕掛けをしていきましょう。
発表できるようにしてあげる仕掛け
それでも、発表者に仕掛けていくとしたら、僕は次のようにします。
答えを教えておくのです。
答えと言っても、一問一答のものではなく、意見としての答えです。
ですから、授業ではなく帰りの会を機会として捉えます。帰りの会ならば、答えを教えておいても問題ないし、たどたどしくてもOKです。
答えの教え方には、工夫が必要です。答えを教えられて、それを答えただけになると、生徒がいい思いをしないからです。
答えの教え方の例を挙げれば、今日の帰りの会での話題は清掃のことだと司会の学級委員と打ち合わせておきます。そしてターゲットの生徒と雑談をしておくのです。「どう、最近の清掃の様子は?」
答えが返ってこなくてもかまいません。「最近の清掃は・・・だよね。もっと・・・だったはずなのに」などとつぶやくのです。
そうして、清掃の話題の時に、学級委員が振る、もしくは担任が振ります。「○○さん、どう思ってる?」突然振られた生徒は、担任がつぶやいた内容のことを自分の言葉として、発言します。
担任の意見だから、いい発言に決まっています。担任は「なるほどね」と相槌を打ちます。
周りの反応を伝えていきます
発言した生徒を周りは評価します。先生も「○○さん、あまり発言しないけど、よく考えているね」と、他の生徒と雑談します。「○○さんの意見に驚いた」と言う生徒も出てくるでしょう。
それをそのまま伝えれば、その生徒は喜びます。伝えなくても、周りの生徒から伝わっていくことでしょう。
このようなことを、同じ生徒にも、他の生徒にも繰り返していくのです。
そうして、学級の雰囲気を創っていきます。
固定された生徒の意見ではなく、意図的に多くの生徒に仕掛け、多くの生徒が発言する帰りの会をつくりましょう。あの子も発言してる、自分も発言できそうだ、発言してみようかな、発言するのって悪くないな、となってきます。
「この学級だったら、手を挙げて発言できる」と、生徒が思えばいいのです。
時間はかかりますが、地道に機会を捉えて仕掛けていきましょう。
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