
毎日、生徒の日記にコメント書いてるけど、みんなどんなコメント書いているんだろう。
こんな疑問を解決します。
- 日記が教育に果たす役割とは?
- 日記のコメントを効果的に書くには
- 日記を使って自己肯定感を高める仕掛け
- 日記のやり取りは、自己調整力と自己肯定感を高める
生徒に毎日日記を書かせ、毎日コメントを書く担任の先生は多いと思います。
僕も学級担任のときは、空き時間に教室の後ろで授業を聞きながらコメントを書く毎日を送っていました。
当然、「どんなことを書くべきか」など、考えもせずに、生徒の書いてきた日記にコメントするだけの毎日を送っていました。
しかし、毎日行うことです。200回近いやり取りです。このやり取りをどう行うかは×200回の差が出てきます。
さらに生徒が40人いたら、×200回×40人の差が学級に出てくるわけです。
でも、安心してください。この記事を読めば、×200回×40人の効果が期待できるわけですから。
では、早速まいりましょう!
日記が教育に果たす役割とは?
日記は、毎日、自分を見つめ、仲間を見つめ、言語化するものである。
そこに注目すれは、おのずと役割は見えてくる。
①思考の整理と感情の表出
日記を書くことは、日々の思考や感情を整理し、自分自身と向き合う機会になります。
また、ストレスや感情的な出来事に直面したときに、日記を書くことで感情を整理し、心の安定を促進することも期待できます。
②創造性と表現
日記は自由な形式で書かれることが多いため、創造性を発揮し、自己表現をする場として活用できます。
自分自身や世界に対する独自の視点や考えを探求し、表現することで、創造性や想像力を育てることが期待できます。
③自己理解と自己調整
毎日の出来事や気づきを記録することで、自己成長のプロセスを追跡し、自己理解を深めることができます。
過去の経験や選択肢の振り返りを通じて、自分の強みや成長の機会を見つけることもできる可能性があります。



「何で毎日日記を書くの?」と聞いてくる生徒には、その子に合った理由をここにある中から選んで説明してあげよう。
この後、具体的にどんなコメントが生徒の自己理解と自己調整を向上させていくのか説明していきます。
日記のコメントを効果的に書くには
生徒の目標や継続している努力に対してコメントを書くと、自己調整力の向上に効果があります。
日記のコメント次第では、生徒の成長に大きく差が出てきます。
次のように仕掛ければ、特に自己調整力の向上が期待できるでしょう。
生徒の目標や継続している努力を知る
まずは、生徒が学期のスタートに立てた目標や継続している努力を知ることから始めましょう。
例えば、
- みんなから信頼を得て、2学期には学級委員になりたい。そのために1学期は、みんなのことを考えた発言をしたり、率先して動くことで学級の雰囲気づくりに貢献する。
- 部活動でレギュラーを獲るために、生活習慣の改善、学級では仲間とよい関わりをもつ、やることを後回しにしない。この3つを頑張る。
- 学力を上げるために、授業で全力を尽くす。先生の話を聞き、発言し、グループワークで中心になる。そのためにも課題は遅れずに、丁寧に時間をかけて家でやってくる。


生徒の継続している努力を見る。そして寄り添う
そして、その努力している姿、努力をしていない姿を捉えることが次にやることです。
例えば、
- 今日の彼の発言は、みんなのことを考えたものだったな。
- あれ、そこで率先して動けると、みんなから頼られて、雰囲気も良くなっていくと思うんだけどなあ。
- グループワークで、上手くいっていない時が出番じゃないの?
- 授業で発言が増えてきたね。
生徒の日記のコメントに、継続している努力について記す
努力していること、努力していないことについてコメントします。
生徒は、自分の書きたいことを書いてきます。
その内容についてコメントをしてもよいのですが、それだけではもったいないのです。
努力している生徒に対して、
- 「昨日の発言良かったね。あれはみんな喜んだと思うよ」
- 「国語の先生から聞いたよ。グループワークでバランスとって学びを進めているみたいだね」
- 「顧問の先生が、最近やる気が違う。いろいろ頑張ってるんじゃないって言ってたよ」
努力していない生徒に対して、
- 「ところで、最近スマホ使う時間を少なくできてる?」
- 「もう一度、みんなから信頼を得るっていう、素晴らしい目標を思い出そうよ」
- 「授業に集中できるように、課題を早めに取り組んでいるか?」



生徒が自分の状況を俯瞰して見ることができるようなコメントが有効です。
日記を使って自己肯定感を高める仕掛け
自己肯定感を高める仕掛け:ウインザー効果を使う
継続している努力を担任ではなく、他の生徒が認めたり、褒めたりするように仕掛けるのです。
具体例は以下の通り。
- 担任が、ある生徒の継続した努力を見つけた場合、そのことを他の生徒との会話に出します。
- 「すごいと思わない?知ってた?みんなのためにこんなことしてるみたい」
- 「そうなんだ」と知らないようなら、その生徒に「今度見てみなよ。そしてその様子を教えて」と言う。
- その後、「そのことをどう思うか、日記に書いておいでよ」と話す。
- 日記に書いてきたら、その記事には褒め言葉が書いてあるはず。コピーして、本人の日記に挟んであげよう。
これで喜ばない生徒はいません。また、自己肯定感は必ず上がります。
きっと、「先生、あの日記誰の?」と聞いてくるでしょう。
また、こんな仕掛けも有効です。
- 仲間の言動や心を見て、日記に書くことを推奨する
- 仲間の言動や心を見て、書いてきた生徒を賞賛する
- 賞賛を受けた仲間へのアプローチで生徒と生徒をつなぎまくる



ウインザー効果
「第三者の誉め言葉が、どんなときにも一番効果があるんだよ」と、アーリーン・ロマノネスの小説『伯爵夫人はスパイ』の登場人物ウィンザー伯爵夫人の言葉が元になった心理学用語
日記のやり取りは、自己調整力と自己肯定感を高める
日記は、生徒が成長する手段の1つです。
そして、担任は日記のやり取りをして、生徒が成長するのを促進します。
日記を提出するだけ、日記を書くだけでも、その生徒にとっては成長という場合があります。
しかし、せっかく生徒が労力を使って、自分の思いを言語化するし、担任が思いを込めてコメントを書くのです。たくさん成長できるようにしたいですよね。
ぜひ、生徒の自己調整力の向上と自己肯定感の向上を目指して、仕掛けてみて下さい。
毎日のことです。やったもん勝ちですよ。