放置しても主体的な活動は生まれない。

「自分たちのやりたいようにやってみよう」と、生徒の活動を放置する先生がいます。なぜ生徒を放置するのかを聞くと、主体的な活動をさせるため、などと言います。

放置することが、主体性を育成することにつながると思っているのか?それとも放置しなければ、主体的な活動とは言えないと思っているのか?

僕には、その担任に策がないだけのように思えます。

では、生徒の主体性を育成するには何をしたらいいのでしょう?生徒が主体的な活動を展開できるように、担任は何をしたらいいのでしょう?

目次

少しずつ主体的な活動ができるように。

何もないところから発想し、調整しながら活動を進め、自発的に振り返っていく。そんなことが初めからできる生徒、できる学級はありません。

生徒や学級を1年間で、もしくは3年間で育てるくらいの感覚がいいと思います。

最初は、担任がレールを敷き、ちょっと外れそうになったら調整し、無事ゴールまで辿り着くのを見守る。それを少しずつ生徒たちの手に委ねながら見守り、自分たちだけでできるようにしていきます。

そんなイメージをもって、1年生や2年生前半で指導されていると3年生の担任は楽しいものです。主体的な活動を創っていく活動は、充実感があふれるからです。上手にできなくてもいい、自分たちの思いが入った活動を展開したこと自体が楽しいのです。

やりたいことをやったのだから。

だから、主体的な活動とはどんなものかを教え、体験させ、楽しませることから始めてはどうでしょう。できれば低学年からやっていきたいものです。

活動を例にとって。

一般的な活動を展開する際に、どんな仕掛けをしていけばいいか?

①生徒が見通しをもつための仕掛け

②生徒が活動を調整できるための仕掛け

③生徒が粘り強く取り組むための仕掛け

④生徒が主体的な活動に近づいていると実感できる仕掛け

生徒が見通しをもつために。

活動が始まります。

担任は「こんな活動にしたい」「こんな姿を創りだしたい」と、生徒の思いを引き出します。

それをゴールとして、生徒がゴールまでの見通しを持てるように、担任が予定を考えます。この、担任が考えておくことが大切です。担任が見通しをもたずに生徒が見通しをもつことはありません。

「いつまでに、どんなことをしていけば、そのゴールに辿り着くと考えているの?」などと問いかけながら、書き込みができるカレンダーを渡しましょう。

そうすれば、生徒が考えた見通しが目に見えます。そして、ここで放置しないことが重要。

「これは、この期限でできそう?」と疑問を投げかけます。担任は、担任自身が考えた見通しと違う所を指摘します。(これは担任の予定に合わせる作業ではありません。生徒が主張した予定に根拠があったり、担任が納得できたら、「そうか、じゃあそれでやってみよう」と言えばいいのです。)

議論になっても構いません。予定が洗練されていくだけだから。

生徒が自分たちの活動を調整できるように。

活動が始まったら、それを見守るだけでは放置です。

見守った上で、活動と予定を見比べながら、調整できるように問いかけます。

「ちょっと進み具合が遅くないか?」「うまく出来ていないようだけど、どうしてだろう?」「スムーズにいってるね」「時間があるから、もう少し活動を増やすことができるかもね。」「私も気づかなかったけど、○○も必要なんじゃない?」など。

その際、愚痴や悩み、イライラ、喜び、様々なことを言ってくるのです。そここそ担任の活躍の時です。

「なるほどね、どうしようか…」と相談しましょう。答えが分からなくてもいいのです。一緒に悩む中で答えを見つけることがいいと思います。

生徒が粘り強く取り組む力をつけるために。

生徒が最後まで、妥協せず、あきらめず、よりよい活動を求めるように、担任のサポートが必要です。

そこには、担任が妥協せず、あきらめず、よりよい活動を求める思いがあればいいと思います。

その思いがあれば、生徒に関わろうと行動に移ります。放置などあり得ないのです。

「こんなものでいいと言うが、本当にいいのか?」「本番は緊張するから、もう一度リハーサルが必要ないか?」「大丈夫、できるよ。もう一度みんなで頑張ってみよう」

主体的な活動に近づいていることを実感できるように。

最終的には、活動が終わった後に振り返り、自分たちの足跡を見つめる機会をつくるのだが、ただ振り返っても「うまく出来てよかった」など、表面的な感想で終わってしまいがちになります。

ここは担任によって使う手法が違うと思うが、活動を進めながら「自分のこの言動が、○○する上で良いものだったんだ」と感じることができればいいと思っています。

それを実感させるだけの話術があれば、帰りの会などで学級全体に話しても構いません。「今日の取組みの中で、○○さんのあの発言、覚えてる。その時みんなはどう感じた?あの発言が自分たちの活動を変えたよね。ゴールに向かってみんなで活動を調整したよね。…」

僕は、学級委員が活動を俯瞰して、帰りの会で語る方法をとることが多いです。「今日、○○さんが、こんなことを言いました。私もドキッとしたし、その通りだと思いました。あれから自分も変えたし、みんなも変わりました。こういうのが楽しいなって感じます。これからも、みんなで指摘し合って、良い活動をしていきましょう。」

日記を使うのもいいでしょう。○○さんの発言について書いてきた記事をコピーし、○○さんの日記に張り付けたりします。

その他、学級通信に載せる、学級掲示に載せることもいいと思います。

そうすれば、「自分たちの活動は、主体的な活動に近づいている」「自分たちの活動は主体的で、成長に気付ける」「自分たちの活動は主体的で楽しい」と感じるきっかけをつくることができます。

少しずつ主体的な活動を生徒に委ねていく。

最初は担任がリードしながら活動を進め、ゴールへ導いていきます。

それを繰り返していくと、生徒は「まずはスケジュール立てよう」「これでいいの?」「もう少し時間があるから、こんな活動も取り入れよう」「○○さんのあの関わり方がいいんだよね」と、自分たちのものにしていきます。

そうすれば、生徒に活動を委ねるようになり、生徒の思わぬ(担任の想像を超えた)言動を見ることができるでしょう。

担任は「君たち凄いね~…」から話し始めるようになります。

まとめ

放置することは、その生徒たちがその時に持っている力に頼っているだけです。

生徒たちが持っている力を発揮してできる活動には、担任の力は入っていません。

担任の責務は何か?生徒を成長させることです。そのためにすることがあるはずです。

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