自分は生徒指導ができる、と思っていますか?

令和4年12月に生徒指導提要が改定されました。

これを学校で先生方と共有したとき「生徒指導って何?今までのイメージと違う」という感想が聞かれました。

そもそも生徒指導って何か?生徒指導主事とはどんな役割を担う分掌なのか?という話題は別の機会に置き、今回は、学校現場でよく使われている生徒指導について話したいと思います。

「自分は生徒指導が得意です」と言っている先生がいました。

ある先生が、自信満々に言っていました。

「悪いことやったら自分のところに来させてください。生徒指導は得意なんで。」

何をするのかと思えば、激しく怒鳴り、理屈を並べて、強引に約束をし、謝罪をさせていたそうです。

怒鳴ることで生徒の動きを止めること、生徒に涙を流させること、生徒をしゅんとさせること、これが生徒指導の手段であって、それができる先生は、生徒指導ができると思っているようである。

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見事だなぁ、と思っていました。

生徒が失敗したときは、成長のチャンスになる可能性があります。しかし、先生にそれだけの力量があればの話です。

以前、見事だなぁ、という先輩の先生がいました。

生徒が失敗する。その生徒を呼び出して、話します。そして、それが終わったとき、生徒の険しい表情の中に、爽やかさが見て取れるのです。

その先生は、怒る瞬間もありましたが、ほとんどの時間を生徒の話を聞くことにあてていました。

共感しながら、失敗の原因となった考え方や気持ちの持ち方を生徒が話すように導いていきます。そして、原因に辿り着いたら「そういうこともあるよな。どうする?」と。

失敗の事実、その原因を素直に話したら、8割はOK。

生徒が「自分の失敗が分からない」というケースは少ないものです。

自分の失敗は自分で分かっています。ただ意地を張っていたり、認めたくなかったり、相手や先生に言いたくなかったりするだけです。

自分の失敗が話せたら、生徒は「もうやらない」。相手がいたら「謝ってすむとは思わないけど、謝りたい」などと言うだろう。

失敗した生徒には、その原因があり、その生徒なりの理屈があり、原因があるものです。それを素直に共感せず、頭ごなしに怒ったら、生徒は心を閉ざしてしまうものです。

失敗した生徒と関わるときの先生のスタンス

失敗した生徒に向き合うとき、その生徒のために時間と労力を使うというスタンスをとるのがいいと思います。敵対する関係をつくってしまうと生徒が心を閉ざしてしまうからです。

やってはいけないことをした、他の生徒に迷惑だ、という事実はあると思います。しかし、敵対している相手の言うことは素直に受け入れられないのが人というものでしょう。言っていることが正しくてもです。

「僕は担任として、君の生き方を心配しているんだ。君の失敗は・・・。その考え方では、人と信頼関係を築けない。今、ちゃんと振り返って、いい生き方をしていこうよ。」という思いで臨みましょう。これらのことを、そのまま言葉にすることも有効です。

保護者と肩を組んで、生徒を育てるイメージ

保護者と敵対して苦情をもらっていくか、それとも保護者と協力して生徒と関わっていくか、大きな違いがうまれます。

保護者と敵対してしまうと、生徒の成長に大きなマイナスを抱えることになってしまいます。

保護者と協力しながら生徒と関わると、効果は上がり、先生の精神衛生上もいいでしょう。少なくともプラスはないが、マイナスをなくし「お任せします」と言ってもらえるようにしておきましょう。

「保護者が苦情を言ってきたって関係ない。オレのやり方は・・・」と言っている先生もいますが、やはり上手くいっていないことが多いと思います。

余談ですが…保護者からの批判は、ない方がいいのは当然ですが、批判があれば急速に大きくなっていくものです。保護者のネットワークは甘く見ない方がいいと思います。

逆に「うちの子の担任は、うちの子のことを真剣に考えてくれる」と思ってもらえれば、多少失敗しても苦情にならず「先生も失敗することあるんですね」と言ってくれるものです。

失敗した生徒の保護者に連絡するときにも「お子さんのためを思うと、今ちゃんと振り返って、生き方を見直すときだと思うんですよ」と言ったり、そんなスタンスで連絡を取ることをお勧めします。

先生としての目的は何だろう?

生徒が、先生の怒る姿を見ることではなく、先生の説教を聞くことでもありません、しょんぼりしたり、泣くことでもありません。

生徒が『自分の失敗を振り返り』『その元にある思いや考え方、心の在り方を見直し』『どうリカバリーするか考え』『どう生きていくか考える』ことなどではないでしょうか。

そのために、どんな手段をとるかが先生の技術、力量です。

怒る、泣かす、説教する、それを生徒指導だと思っている先生の考え方が変わってくれることを願うばかりです。

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