生徒の言動の元にある心の動きを捉えよう。

人が何かを言うとき、行動を起こすとき、その元となる心の動きがあります。その心の動きを捉えようと努力することは、担任のやるべきことの軸になるものです。

この努力なしに担任をしていると、機械的な学級経営になってしまいます。なぜなら、生徒の心の動きに関係なく、活動を進めたり、毎日の生活を送ったりするからです。

学校現場では「生徒の心や思いに寄り添う」というフレーズを耳にする。教員は「寄り添う」というフレーズに惹かれがちですが、寄り添うべき生徒の心や思いを知っている前提で「寄り添う」ことができるのです。

ここでは、生徒の心や思いを捉える、または捉えようとする、1つのアイデアを提案していきます。

目次

学年集会で、言うことを覚えて発表してきた生徒の例

学年集会で、学級委員たちが、各々のクラスの頑張ってきたことを発表する機会がありました。1組の学級委員がメモを読みながら発表します。2組も3組も続く。そして4組、学級委員のA君は、何も見ずに発表しました。

あなたが担任なら、このA君に対してどう話しかけますか?

「暗記して発表できたね。すごいね」ってほめますか?「みんなも驚いてたね」などと言いますか?

僕は、それらの声掛けが効果的ではないと思っています。それどころか、マイナスになってしまう可能性さえあると思っています。そのような言葉をかけると、A君は次からも暗記するでしょう。暗記しなければほめられないと思ってしまうかも知れない。そもそも暗記して発表することの価値は何かを理解して担任は話しかけているのか?A君はその価値を理解しているのか?

そんな理由から、この暗記して発表したA君には「頑張ったね」の類しかないと思います。暗記したこと、発表したことは、頑張ったことだけは変わりはないからです。

話を元に戻します。暗記して発表という言動を選んだA君には、どんなアプローチが必要でなのでしょうか。

A君には「頑張ったねぇ。暗記したんだね。ところでさ、どうして暗記しようと思ったの?」などと尋ねます。そうすると「みんなの方を見て発表できると思ったから」「小学生の時の担任が、暗記して発表するものだと教えてくれたから」「みんなにすごいって言ってもらいたかったから」「メモした紙をなくしたときどうしようと思って、覚えといた方が安心だったから」「目立てるじゃん」など、様々な答えが返ってきます。

彼の言動を褒めるなら「発表する相手を意識したんだね」「先生の言うことをよく聞いていたんだね」など、言動の元になる心や気持ちが対象になってきます。

さらに深めてもいいと思います。「どんな気持ちから、みんなの方を見ようと思ったの?」と。

要するに、言動そのものを褒めるのではなく、言動の元になっている心の動きを捉えて褒めるべきだと思うのです。

廊下を走っている子は悪い子なの?

B君が廊下を走っていました。先生は、それを見て注意しました。B君はふてくされます。先生が「なにふてくされてんだ‼」と。そんな場面がありました。

危険な行為をしている、周りに悪い影響を与える、ルールを破っている、などは注意するべきことです。上記の廊下を走る行為も危険を孕んでいます。注意することは当たり前です。しかし、その言動の元にある心の動きは聞き出しておくべきです。

「どうして走ってたの?」「どうして走ろうと思ったの?」「何か走らなければならない理由があったの?」と。

授業に間に合わせようと思ったのか、追いかけっこをしていたのか、誰かが倒れてしまって先生を探していたのか、トレーニングをしたかったのか、不審者に出くわしたかも知れません。

要するに、走る行為を注意するだけではなく、その行動の元となる心の動きを聞いてみれば、その次にかける言葉が違ってくるということです。

ルールを破った子を注意した子はいい子なの?

なぜなら、B君の心の動きが分からないからです。もしかしたら、先生に褒められたいだけかも知れません。上履きで外に出た子に恨みを持っていて、先生に怒られろって思っていた可能性もあります。自分も上履きのまま外に出ようとしたら、先生が来たからごまかしただけかも知れません。ルールだから破ったら注意するものだと思っているのかも知れません。

注意する元となる心の動きが分かったら、担任の次の言葉が変わってきます。いつでも「注意してくれたのね。ありがとう」「注意してえらいね」ではないですよね。

まとめます。

生徒の言動があったら「どんな気持ちから○○したの?」と言動の元にある心の動きを捉える努力をしましょう。

言動と言っても、何もしないことも言動の1つとして「何もしないのは、どんな気持ちからなの?」と聞いてみよう。想像を超えた答えが返ってくることがあります。

そして「褒める」ならば、言動ではなく、その元となる心の動きを褒めましょう。生徒のうれしさは何十倍も違うし、自己肯定感をもてるようになります。

言動(表面)だけを見るのではなく、その元にある心を見なければ、生徒に「この先生は表面しか見ない」見透かされてしまいます。

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