以前、僕が顧問をしていた部活動で、部員の保護者からこんな苦情を受けたことがあります。
「先生、練習試合に行くのに、プリント1枚も出さずに行ける訳ないじゃないですか?兄の時の顧問は、とっても丁寧で安心でした。もっとしっかりしてほしいです」
「不安にさせてしまって、すみません」と謝りながら、詳しく思いを聞いてみました。すると、兄の顧問(前顧問)は、練習試合の2週間前にプリントが渡され、そこに集合時間、集合場所、交通手段、持ち物、練習試合の進行、試合会場図が載っていたと言います
さらに、集合場所には駅の地図に矢印が書かれていたり、試合会場図には、待機場所や荷物置場が示されていたとのこと。
あなたなら、どうしますか?前顧問からデータをもらい、同じような内容の案内を配布しますか?
丁寧に教えすぎないこと。
僕は、「教えすぎないこと」と「任せすぎないこと」のバランスが大切だと考えています。
上記の例であれば、これから挙げることを顧問が指定する必要がないと思うのです。
- 駅の集合場所
- 交通手段(何時の電車に乗って、どこで乗り換えて、どうやって会場校に行くか)
- 持ち物
- 会場図(公式戦などは、先に指定される場合がある)
教えなければならないこと。
だからと言って、生徒が勝手に練習試合を行うわけではありません。必要な情報は早めに伝えておきます。
- 練習試合の会場校
- 会場校のルール(入場できる時刻、ウォーミングアップできる時刻や場所など)
- 練習試合の進行表(対戦相手と開始時刻、終了時刻、昼食の休憩時間など)
話し合っておくこと。
- 練習試合のチームの目標
- 練習試合の個人の目標
これが一番大切だろうが「こんなことを試したい」「相手のここを観察したい」「だからこんなメンバーで臨みたい」「あなたはこんなことを頑張ってほしい」などと伝え、「どう思う?」と話し合しあいます。
そのための準備をみんなでやろう。
教えるべきこと、話し合うことが終わったら、準備に入ります。入ると言っても、生徒が準備をみんなでワイワイしながら進めていきます。
- 集合時間
- 交通手段
- 持ち物 など。
練習試合会場の入場時刻から逆算し、集合時間を決めたり、交通手段を調べたり、天候や会場の条件、試合進行をイメージしてユニホームや服装などを決めていきます。
生徒に任せすぎない。
教員(顧問)は、生徒の安全を守る義務があります。校外に出るのだから、一人でも行方不明になってはいけないし、無理のある予定を組んで、急いで怪我をさせてはいけません。
生徒が準備を進めたものを必ず確認しましょう。
そして、無理があったり、足りなかったりした場合は、修正を加えます。
それを生徒用と、保護者用に印刷して配布します。
保護者の理解を得る。
苦情を言ってきてくれた方に、上記のことを丁寧に説明し、1週間前までには案内することを伝えました。
さらに後日、別件で来校した先ほどの保護者に、学年主任の先生が「担任の先生方に、教えすぎないように、支援しすぎないようにと話しています。教えすぎると生徒は考えなくなるんです」と説明してくれたそうです。
学年主任の先生がこのことを言っていたというのは、約2年後。その保護者の方が「実は・・・」と教えてくれました。そして「先生の考えが、今ではよく分かります」と言ってくれました。よかった。
後から考えれば、僕の方針を先に説明しておけばよかったのでしょう。生徒たちにも僕の方針を理解してもらっておらず、保護者に伝わっていなかったからです。その方も苦情を言わずに済んだのにと反省しています。
とても学びの多い出来事でした。
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