学級通信は、出せばいいってものではない

学級通信を毎週発行する。通算何号まで発行したかを数える。行事の写真をたくさん載せる。

それ自体に価値があるわけではない。

学級通信を書くには時間がかかる。印刷には紙もインクも電力も使う。子どもの成長につながらないのであれば、労力と紙の無駄である。

それは、教師の自己満足にすぎない。

学級通信の目的は、発行することではない。

子どもが読み、自分や仲間について考える。教室に掲示された通信を見返し、自分たちの歩みを確かめる。保護者が、教室では見えない子どもの成長を知る。

そのために、学級通信を書くのである。

目次

学級通信は、書けばいいってものでもない

学級通信を発行しても、出来事や写真を並べたり、教師の感想や要求ばかりを書いたりしていたのでは、子どもの成長にはつながりにくい。

「もっと協力しましょう」

「進んで行動しましょう」

「友達の気持ちを考えましょう」

教師が正しいことを書けば、子どもがそのとおりに行動するわけではない。

行事の写真を載せ、「みんな頑張りました」と書くだけでは、活動報告にとどまる。

学級通信で問われるのは、子どもが読み、自分や仲間の姿について考えられるかどうかである。

子どもの言動を書く。写真を載せる。教師の思いを書く。

それだけでは、読む意味がある学級通信にはならない。

言動の元にある心や思いを語る

学級通信に子どものよい言動を書くことには意味がある。

しかし、「ごみを拾って立派でした」「友達を助けてすばらしかったです」と書くだけでは、表面に現れた言動を褒めているだけである。それでは、読んだ子どもたちの心は動かない。

大切なのは、その言動の元に、どのような心や思いがあったのかを語ることである。

仲間が気持ちよく過ごせるようにしたかったのかもしれない。

困っている友達を、そのままにしておけなかったのかもしれない。

誰かが動くのを待たずに、自分がやろうと思ったのかもしれない。

教師が語るのは、同じ言動を子どもたちに求めるためではない。

その言動の元にある心や思いに触れ、読んだ子どもが自分や仲間について考えるためである。

ただし、教師が子どもの心を勝手に決めつけてはいけない。言動の元にある心や思いをどう捉えるかについては、別の記事で詳しく述べている。

学級通信では、子ども本人に確かめたことや、事実から考えられることを基に、その心や思いを丁寧に語りたい。

では、子どもが読み、考える学級通信をどう書くか

学級通信を書くときには、一号一メッセージを基本にする。

一枚の通信に多くの内容を詰め込めば、何を伝えたいのかが分からなくなる。

「この通信を読んだ子どもに、何について考えてほしいのか」

まず、それを一つに絞る。

書く順序は、次のようになる。

1.学級で起きた具体的な事実を書く。

2.その言動の何がすばらしかったのか、元にある心や思いとともに語っていく。

3.読者である子どもたちへ返す。

子どもたちへ返す際には、「みんなも同じことをしましょう」と教師の要求を書くのではない。

「この姿を、みんなはどう思うだろう」

「私たちの学級には、ほかにも同じような心が表れた場面がなかっただろうか」

子どもが自分や仲間について考えられるように書く。

また、学級通信の中心的な読者は子どもである。

保護者への報告書としてではなく、子どもに向けて書く。子どもに向けて真剣に書かれた通信は、結果として保護者にも届く。

保護者は、その通信を通して、担任が子どものどのような姿を捉え、学級で何を大切にしているのかを知ることができる。

学級通信を書くことで、教師にも変化が生まれる

このような学級通信は、子どもの成長のために書くものである。しかし、書き続ける中で、教師にも多くの副次的な変化が生まれる。

まず、通信に書く材料を探すために、子どもの小さな言動を捉えようとする。

その言動のすばらしさを語るためには、元にある心や思いについて考える必要がある。

分からなければ、子ども本人に尋ねる。

この積み重ねによって、教師は、子どもの言動の元にある心や思いを捉え、それを言葉にする力を磨いていく。

また、学級通信を学年の教師にも読んでもらえば、他の教師がその学級の子どもに目を向けるきっかけにもなる。

子どもを見る教師が増えるのである。

しかし、これらは第一の目的ではない。

子どものための学級通信を書こうとした結果として、教師にも生まれる変化である。

まず、一枚書いてみよう

学級通信は、出せばいいってものではない。

何かを書けばいいってものでもない。

子どもの具体的な言動を取り上げ、その元にある心や思いを語る。読んだ子どもが、自分や仲間について考える。教室に掲示された通信を見返し、自分たちの歩みを確かめる。保護者が、子どもの成長を知る。

そのような学級通信なら、書く価値がある。

最初から立派な通信を書く必要はない。

まずは、目の前の子どもの言動を一つ取り上げ、一号一メッセージで書いてみてほしい。

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