
生徒会役員選挙。
担任の役割は何だか分かりますか?



立候補者が当選するように支えることかな?



それもありますが、一番大切な役割ではありません。
担任は、少なくとも立候補者を成長させることです。



当選しても、落選してもです‼
生徒会役員選挙、当選すれば多くのものを得て、落選すれば何もない。それではいけません。担任として、当選者も落選者も成長できるように仕掛けていきましょう。
- 生徒会役員選挙で、多くの担任がしてしまう勘違いが分かる
- 立候補者が当選しても落選しても成長するように、担任が仕掛ける方法が分かる
- 担任としてのスタンスを見直すキッカケになる・・・といいなぁ。
生徒会役員選挙で生徒を伸ばす
立候補者は、大きなプレッシャーの中で活動します。当選すればご褒美があるが、落選すると何もないのでしょうか?
そんなことはありません。
生徒会役員選挙。それは、生徒たちのよさを生徒たちが探し合い、認め合い、自分たちの努力しなければならないことを明確にし、生徒が今までと違ったレベルで物事を捉えられるようになる絶好の機会にできるのです。
カン違い先生:ムキになってしまう担任
以前、自分の学級から立候補した生徒を当選させたいがために、開票後に投票用紙を確認し、隣の学級の生徒の名前が書かれた投票用紙の無効票探しをしていた担任がいました。



そこまですると、ちょっと引きます。



でも、自分の生徒への愛情だけは大きそうですね。
尋常じゃないほどではありますが。
カン違い先生:何もしない担任
「選挙は公平であるべきだ」「生徒会役員の選挙だから先生が口を出すべきではない」「主体的に活動すべきだ」などと言い、何も動かない、もしくは最低限の手続き的なことだけをする担任がいます。



面倒だから何もしない言い訳に聞こえる。
これは、生徒への愛情も、担任としての仕事への情熱も、一切感じられません。担任としての役割や目的などは、見失うレベルではなく、放棄しています。



先ほどのムキになる担任の方がまだマシに感じてしまいます。
立候補者がいる担任の役割
立候補するのはとても勇気がいることです。自分の姿や言動を全校の生徒が見ますから。
そうであれば、そんな勇気を出した生徒が選挙後、当選するかしないかに関係なく「立候補してよかった。勇気を出すとこんな気持ちがいいものなんだ」と感じられるようにしてあげたいですよね。
当然、立候補者を支える推薦者や応援者にもよい思いになってもらいたいが、最低限「立候補者だけはよい思いをさせる」という意気込みで担任は臨むべきだと思います。
手段①よいところみつけ
立候補者に「あなたのよいところは何?」と、自己分析するように問いかけましょう。
また、推薦者にも応援者にも「立候補者のよいところは何?」と問いかけましょう。
そして、それを学級のみんなで共有していきましょう。「よいところは何?具体的には?どんな場面でそう感じるの?それってどうしてよさなの?」など。
そうすれば、自分から見たよさ、周りから見たよさが、あらゆる視点から出てきます。この時点で嬉し泣きをした生徒もいました。聞くと「私のことをそんな風に評価してくれたなんて思ってもみなかった」と。
手段②よさを集団の中でで活かす
「立候補者のよさの中で、どのよさが、どのような場面で活きてくるのか、想像してみよう」などと学級に問いかけます。
行動力が持ち味の立候補者なら、生徒会の活動の方向が決まってからすぐに広報したり、準備したり、学級に働きかけたりするでしょう。
バランス力が持ち味の立候補者なら、多くの意見を吸い上げたり、少数派の意見を大切にしたり、時期的に活動可能かどうかを考えたりして企画の話し合いをするでしょう。
発想力が持ち味の立候補者なら、同じ活動でもより楽しく、より短時間で充実感が得られるような取組を企画するでしょう。
そんなことを学級全体で考えます。できれば過去1年間の生徒会活動と重ね合わせて、この場面では立候補者のこんなよさが発揮されるはずだ、などと話し合ってみましょう。
このことは当選した場合、とっても高い効果が得られますし、落選した場合も同じなのです。
手段③選挙運動をどう展開するか話し合う
こんな選挙運動でいいのか?Part①
名前や公約が載るポスターを掲げて、名前を連呼する選挙運動をよく見るが、それを学級で行う意味を僕は見出すことができません。
大人の選挙も同じようなものである、という先生がいるが、それが常套手段になっている大人の世界こそ批判してほしいと思っています。
こんな選挙運動でいいのか?Part②
疑問が残る選挙運動の例を挙げます。
例えば、学級委員や学年の代表を務め、リーダーシップをよさに掲げた立候補者の応援者が、選挙運動に遅刻しながらバラバラと集まってきて、その前を生徒が通っているにも関わらず、おしゃべりをする。
元気で前向きに活動することをよさに掲げた立候補者の推薦者が、暗いトーンで応援演説を行っている。
立候補者のよさを伝える選挙運動。
上に挙げた運動では、本当にリーダーシップが取れるのか?本当に前向きな活動を展開できるのか?と疑問を抱かせてしまいます。
厳しく言うと、その生徒たちは、ただ選挙運動をしているだけ。その担任は、ただ選挙運動をこなすことを生徒に課しているだけ、と考えられます。
担任の先生は、立候補者のよさを他の生徒たちに伝わるような選挙運動を考えるように働きかけるべきです。
仕掛けは簡単です。学級を俯瞰する役割を担っている学級委員が「もっと立候補者のよさを他の学級の人たちに伝えたい。そんな選挙運動にしていきたい。どうすればいいか考えよう」とか。「これじゃあ、立候補者のよさが伝わらないから、もっとこうする方がいいと思うけど、みんなはどう思いますか?」と言えるように関わっていけばいいのです。
(最初はさりげなく出来ないので、直接学級委員に「帰りの会で、みんなにこんなことを言ってみようよ」と提案すればいいのです)
実際にあった選挙運動の例
- リーダーシップを売りにした立候補者の学級で、ヤンチャな生徒たちが立候補者より早く集合し、列を乱すことなく並び、挨拶しながら投票を呼び掛けていました。
- ボランティア精神を売りにした立候補者の学級で、グラウンド一周ゴミ拾いをしてから朝の選挙運動に入っていきました。
まとめ・・・投票前、開票後の立候補者の言葉
このような活動を行うと、立候補者は学級の仲間に感謝の言葉を述べます。当選、落選ありますが、それ以上のものを味わうことになるのです。
担任の先生は、このようなことを目指して選挙に入ってはどうでしょうか?


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