
学年末、学期末の通知票に載せる生活所見だけど、
どんなことを書いたらいいんだろう?
こんな疑問を解決します。
- 生活所見のススメ
- 先生たちの本音と実情
- 【具体例つき】効果的でシンプルな所見の書き方
- 【おまけ】「こんな生活所見はイヤだ!」鉄拳風に紹介
- 【まとめ】教員として生活所見に正面から向き合う大切さ
働き方改革の波がきて、通知票に生活所見を載せない学校が増えてきています。
しかしながら、学年に1回は書くという学校が多いのではないでしょうか?
言葉が残る通知票です。一生涯大切に保管している方も多いと思います。
とは言え、安心してください。僕も教員になりたての頃は、生活所見に苦労した1人です。
この記事を読めば、生活所見の効果的な書き方が分かります。また、リフレーミングを取り入れた生活所見の考え方が分かります。
では、行ましょう!



【具体例】も紹介しながら解説していきます。
生活所見のススメ
生活所見を効果的に書くこと、それを生徒や保護者に伝えるのことは、生徒の成長や保護者との協働という点において、次のような大きな効果があります。
- 生徒や保護者から教員への信頼が厚くなる。
- 教員がその生徒のことを肯定的に捉えているという保護者へのメッセージになる。
- 生徒のモチベーションが上がる。
- 担任が、生徒の成長を言語化することで、自らの関わり方や学級経営を振り返ることができる。
ただし、効果的に書くと…の話。
上手く書けなければ、生徒や保護者から軽く見れれてしまいます。
だからこそ、努力して、学んで、効果的に書く必要があるのです。
この技術を身に付け、実践することができたのなら、学級担任として信頼を得ること間違いないのです。



僕は、自分で満足できる生活所見が書けるようになった頃あたりから、「先生は私たちのことをよく分かってくれている」と言ってもらえるようになりました。
先生たちの本音と実情
生活所見を書くのは、かなり大変です。
- 単純に時間がかかる。
- ひとりひとりの生徒の努力を想起する作業がある。
- 日本語として文章を正しく丁寧な言葉で書かなければならない。
- 何回も上司に修正を促される。
少し前までは(たぶん、どの県でも)3学期制で全ての通知票に生活所見を書くことになっていた。
しかし、働き方改革の波が押し寄せ、生活所見はどんどん省略されていく。
僕の学校でも、学年末の通知票だけに載せることになってしまった。
そこで、先生たちはこう思う。
- ラッキー。大変だから、省略大賛成。
- もっともらしい理由を付けなきゃ。そうだ、面談で話しているし「面談済みだから」にしよう。
- 生活所見を書かなくても、生徒は成長するし。
- どうせ保護者の興味関心は、評定の数字でしょ。
絶滅が危惧される生活所見。僕は次のように言いたい。
生活所見はなくてもいい。でも、担任は書けるだけの実力は持っていなければならない。絶滅する前に、効果的に生活所見を書ける担任になってほしい。



そうは言っても大変ですよね。
その苦労が少しでも軽減するよう、丁寧に解説していきます。
【具体例つき】シンプルで効果的所見の書き方
結論から言います。
生徒の目標を把握し、それに向けだ努力や成果を記述する。
- 生徒の目標「(生活所見を書く)この期間において、どんな人物になっていたいか、どんな成果をあげたいか、どんな評価を仲間から受けたいか」を書く。
- その目標に向けて、日常でどんな努力を継続してきたかを書く。
- その努力の成果を書く。
例えば、
「人のために動ける人間になりたいという目標をもち、班長を務め、班活動の最終確認を毎日行いました。班員が休んだり、仕事が残ったりしたときには、○○さんが全てのフォローをしました。今では班員や学級の仲間が○○さんのことをとても信頼しています。」
「毎日継続する力をつけたいと、環境委員として、放課後に学級環境を整えることを続けました。今学期中継続し、自信がついただけではなく、きれいな教室は○○さんが努力してくれているからと、級友や学年の先生方から感謝の言葉をもらっていました。」
「部活でレギュラーを獲るという目標をたて、生活習慣や仲間との関わり、学習への向き合い方を見直しました。特に、授業に集中して取り組むことで、睡眠時間やトレーニング時間を確保するという発想は画期的で、級友に良い刺激を与えました。」
生徒の目標を把握する
突然ですが…
担任のみなさん。生徒ひとりひとりの目標を把握していますか?
担任の先生方に聞くと、意外に把握していませんよね。
簡単な方法を1つ、紹介します。
- 学期の初めに、目標作文を書かせます。
- それを元にインタビューして、「今学期、どんな力を付けたいの?どんな人物になりたいの?どんな評価を受けたいの?どんな成果をあげたいの?」と聞くのです。
- 言語化できている生徒は、作文と同じことを言うでしょうし、そうでない生徒は、質問をしながら言語化できるように促してあげます。
- 学期中、その生徒と目標を話題に関わるのです。
- 学期途中で目標が変わっても構いません。把握し直せばいいのです。



「そんなの今更だよ」というあなた。大丈夫です。学期途中でも目標を生徒たちに確認すれば問題ありませんよ。


生徒の努力の具体を追って書く
生徒がそれぞれの目標に向かって継続して努力したことを記述します。
そのためには、
- 学期当初から、目標に向けて、どんなことを頑張り続けるか?を明確にしておく。
- 目標に向けて、頑張り続ける姿を見ていく。
- 目標に向けて、頑張りが足りないときや忘れてしまっている時に、気づかせて励ます。
- 学期途中で継続したいことが変わったときは、その変化を共有する。
※そこには、○○委員や○○係といった役割を絡めても絡めなくても構いません。



③については、日記のコメントが有効ですよ。こんな記事も読んでください。


仲間の評価を添えて生徒のよさを上乗せする
仲間からのよい評価を載せて、よい関わりをほのめかす。
ただ、事実を書くだけや、担任からの評価だけではもったいないのです。
この段階は、まず他の生徒に仕掛けます。
- 学期途中に、担任が他の生徒と、該当生徒が継続して努力している姿を話題に話をする。
そして…状況に応じて次のように回収します。
- 他の生徒が、他の生徒が褒めていたことをメモしておく。
- 他の生徒が、褒め言葉を日記に書いてきたことをメモしておく。
- 他の生徒が学級委員など立場ある生徒の場合、該当生徒の継続して努力している姿を学級に語るように依頼する。
※少しズルいですが、担任が他の生徒と話すとき、「偉いよね。人のために動けるようにって努力しているんだって」とか、「すごいよね。おかげで僕たちの学級は、毎朝環境が整っているんだよな」とつぶやくと、生徒は素直に反応してくれるものです。



この手法、詳しくは次の記事にありますよ。


【おまけ】「こんな生活所見はイヤだ!」鉄拳風に紹介
- 親からすれば、「そんなこと知ってるし」「だから何?」
- 生徒からすれば、「そう思われてるんだ」「学校ではけっこう無理して明るくしているのに」
- 「やらなきゃ怒られるし」「やるのは当たり前でしょ」「それしか書いてくれることなかったんだよね」
- そもそも定型文にしている先生もいるようです。
- 「○○係として、・・・を行いました」と「責任をもって行いました」は違うのか?
- 「リーダーなんてやりたくないんだけど」「来年度こそ、自分のことを地道に努力したいのに」
- 「今年あんなに失敗して、リーダーの器じゃないんだけど」
【まとめ】生活所見に正面から向き合う大切さ
先生にとって、生活所見を書くということは大変なことです。
文字になってしまうから、誤魔化せず、残ってしまうからです。
しかし、先生にとってメリットだらけです。
僕は、ここで紹介した技術を身に付ける前とあとでは、明らかに実力と成果に変化がありました。
- 生徒の思いを知ろうとするようになりました。
- 生徒の思いに、継続して寄り添うようになりました。
- 生徒の努力を応援するようになりました。
- ある生徒を、他の生徒と一緒に応援するようになりました。
- 生徒同士の関係性がよくなりました。
- 時には、生徒と一緒に活動するようになりました。
- 生徒の成長が目に見えるようになり、感動をもらえるようになりました。
- 保護者から感謝してもらえるようになりました。
この他にも、いろいろあると思います。
ぜひ、活用してみて下さい。