日本の特別活動は、海外からも注目されています。
文部科学省のEDU-Portニッポンでも、特別活動は「諸外国から注目が集まる」日本型教育として紹介され、エジプトをはじめとする海外の学校でも実践されています。
学級活動や委員会活動、児童会活動、学校行事などを通して、子どもたちが話し合い、自分たちでよりよい集団をつくっていく。
そこには、教科の学習だけでは育てきれない大切な学びがあります。
しかし、私は一つ気になることがあります。
学校では、活動は残るのに、ねらいは残らないことです。
今日は、そんな特別活動を学校全体で支える、特別活動主任の役割について考えてみたいと思います。
活動は残る。でも、ねらいは消えていく
公立学校では、教員が異動します。
担当者が替わっても、活動そのものは引き継がれていきます。
運動会ではこの種目を行う。
委員会ではこの活動に取り組む。
児童会ではこの行事を企画する。
活動の内容や進め方は、前年度の資料に残っています。
しかし、
「なぜ、この活動を行うのか。」
「この活動を通して、子どもたちのどんな姿を育てたいのか。」
というねらいは、少しずつ薄れていきます。
気が付けば、
「去年もやっていたから。」
「例年どおり。」
という理由だけで、活動が続けられていきます。
すると、活動はあっても、子どもの成長につながらなくなります。
教師も子どもも、活動を「こなす」ことが目的になってしまうのです。
特別活動主任が提案するもの、残すもの
だからこそ、特別活動主任が提案するときには、活動内容や日程だけでなく、ねらいを職員に伝えることが大切です。
「この活動で、子どもたちに何を育てたいのか。」
「活動を通して、どんな子どもの姿が表れることを期待するのか。」
そこを深く考え、職員と共有するところから、特別活動は始まります。
職員会議でも、最初に日程や役割分担を説明するのではなく、まず、ねらいを共有する。
その上で、ある程度の日程や、学校全体で取り組むべきことを提案します。
すべての進め方を細かく決める必要はありません。
ねらいが共有されれば、各学級や各委員会で、そのねらいに向かうための方法を考えられるからです。
特別活動主任が残したいのは、前年度と同じ活動を再現するための資料だけではありません。
その活動を通して、どんな子どもを育てようとしていたのか。
そのねらいを、次の担当者や職員に残していくことが大切なのです。
ねらいは一つ。手段は何百通り
ねらいを共有することと、手段を統一することは違います。

ねらいが共有されていなければ、担任は示された活動を、そのまま実施するだけになります。
しかし、ねらいが共有されていれば、
「このねらいなら、自分の学級ではどのように展開しようか。」
と考えることができます。
この学級の子どもたちなら、どんな活動が合うのか。
どんな問い掛けが必要なのか。
どんな役割を子どもたちに委ねるのか。
どんな姿を見取り、価値付けていくのか。
そこには、担任の個性が表れます。
学級の子どもたちの個性も表れます。
同じねらいに向かっていても、手段は何百通りも生まれるのです。
ある学級では、子どもたちの話合いから活動が発展するかもしれません。
別の学級では、一人の子どもの思いをきっかけに、新しい取組が始まるかもしれません。
委員会の活動が学級へ広がり、学級から出た考えが再び委員会へ戻ることもあります。
こうして、最初に提案された活動が、それぞれの学級で独自に進化していきます。
それでも、向かっているねらいは同じです。
ねらいは共有する。
手段は、担任と子どもたちに委ねる。
そこに、特別活動のおもしろさがあります。
提案して終わりではない
特別活動主任の役割は、提案して終わりではありません。
ねらいと、ある程度の日程、学校全体で行うべきことを提案した後は、各学級や各委員会の取組を見ていきます。
ねらいに向かって活動が進んでいるか。
活動すること自体が目的になっていないか。

子どもたちに、期待していた姿が表れ始めているか。
そうしたことを確認し、必要であれば、担当者や担任と話しながら活動を微調整していきます。
すべての学級を同じ形にそろえるのではありません。
それぞれの学級や委員会のよさを生かしながら、ねらいから外れないように活動を整えていくのです。
活動を管理するだけではなく、子どもの成長というねらいに向かって、学校全体の取組を支えていく。
それも、特別活動主任の大切な役割だと思います。
活動とともに、ねらいを学校に残す
活動は、時代とともに変わります。
担当者も替わります。
子どもたちも、学級の実態も変わります。
だから、前年度と同じ活動を、そのまま繰り返す必要はありません。
大切なのは、
「この学校では、この活動を通して、どんな子どもを育てたいのか。」
というねらいが、職員の間で共有されていることです。
ねらいが共有されていれば、担任や子どもたちは、自分たちに合った手段を考えることができます。
そして、各学級や各委員会で生まれた実践が、学校の特別活動をさらに進化させていきます。
「こんな活動を行う。」
ではなく、
「こんなねらいがあるから、この活動を仕掛ける。」
活動の前に、ねらいがある。
特別活動主任が、そのねらいを深め、職員と共有し、活動を整えていく。
そうすることで、毎年繰り返される活動が、子どもの成長につながる意味のある教育活動へと変わっていくのです。
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