「上司に相談して、言われた通りに対応したのに、保護者から苦情が来た」
「行事について上司の判断を仰いだが、うまくいかなかった」
その後に、
「自分は言われた通りにやっただけだ」
「○○先生が、そうしろと言ったから」
と考えたことはないでしょうか。
もちろん、上司の判断が適切でなかった可能性はあります。
しかし、失敗の原因を上司だけに求めても、次の仕事はよくなりません。
上司をすぐに変えることはできませんが、自分の相談の仕方や、その後の動き方は変えられるからです。
教師には、教師にしか見えないものがある
教師は、毎日子どもと一緒に過ごしています。
普段の表情、話し方、友達との関係、少し前に起きた出来事。
上司が短時間の相談だけでは知ることのできない事実を、教師は数多く持っています。
さらに、長く子どもと関わっていると、
「この子には、この伝え方では届かない気がする」
「この対応をすると、別の問題が起きそうだ」
と感じることがあります。
その違和感を、すぐには言葉にできないこともあります。
しかし、それは単なる気分とは限りません。
子どもと過ごしてきた時間の中で蓄積された、教師ならではの見取りが表れている可能性があります。
これは、教師という仕事の大きな強みです。
だからこそ、その価値を自分で手放し、上司の答えをそのまま実行するというのは避けるべきです。
判断を仰ぐなら、判断材料を持っていく
上司に相談すること自体は必要です。
特に、子どもの問題行動、保護者対応、安全に関わること、学校全体に影響することは、一人で決めるべきではありません。
ただし、
「困っています。どうしたらいいですか」
と状況だけを伝え、判断をすべて預けてしまうことには危うさがあります。
上司は、教師から伝えられた情報を基に判断します。
伝えられていない事実があれば、判断がずれる可能性があります。説明が曖昧であれば、適切な方針を示すことも難しくなります。
判断を仰ぐのであれば、少なくとも、
- 何が起きたのか
- 誰から、何を確認したのか
- まだ分かっていないことは何か
- これまでに、どのような対応をしたのか
- 子どもや保護者は、何を求めているのか
- どのような対応が考えられるのか
- 自分は、どうするのがよいと考えているのか
を整理しておく必要があります。
すべてを調べ切る必要はありません。
経験が浅く、何を確認すればよいか分からないこともあります。
それでも、
「ここまでは確認しました」
「私はこう考えています」
「この点で迷っています」
と相談することはできます。
材料を集める意味は、上司が判断しやすくなることだけではありません。
自分が何に困り、何を迷っているのかを整理することにもつながります。
調べて考える中で、自分なりの方向が見えてくることもあります。
上司の答えを、自分の仕事に変える
上司から方針が示された後も、教師の仕事は終わりません。
なぜ、その判断になったのか。
何を大切にした判断なのか。
子どもや保護者に、どのように伝えるのか。
どのような反応が予想されるのか。
これらを考え、上司の判断を自分の仕事へ変えていく必要があります。
もし、方針を聞いたときに違和感があれば、その理由を探るべきです。
必要な事実をもう一度確認する。
自分が見てきた子どもの姿を伝える。
必要であれば、別の方法を提案する。
教師の違和感には、上司には見えていない事実が含まれていることがあります。
だからこそ、言葉にできないまま押し込めるのではなく、何に引っかかっているのかを探り、もう一度話し合うことが大切です。
ただし、最終的に職務上の方針が示された場合には、従わなければならないこともあります。
従うことと、考えることをやめることは同じではありません。
方針に従いながらも、
- どう伝えるか
- 相手の反応をどう見るか
- 途中で何を修正するか
- 結果をどう報告するか
は、実際に子どもや保護者と向き合う教師の仕事です。
誰の指示だったかではなく、何が起きたかを見る
子どもや保護者にとって、「誰がそう言ったか」は関係ありません。
大切なのは、その対応によって、
- 子どもがよりよい行動を選べるようになったか
- 保護者が学校の考えを理解できたか
- 問題が改善へ向かったか
- 安心や信頼につながったか
です。
教師の仕事は、指示されたことを実行すれば終わるものではありません。

その働きかけによって、子どもや保護者に何が起きたのかまで見届ける必要があります。
上司に相談することは必要です。
一人で抱え込む必要もありません。
しかし、
「言われた通りにやったのに」
で終わってしまえば、同じ失敗を繰り返します。
教師には、毎日子どもと過ごしてきたからこそ見えるものがあります。
その事実や感覚を生かしながら、必要な材料を集め、自分の考えを持って相談する。
上司の方針に従う場合でも、考えること、伝え方を工夫すること、結果を見届けることまでは手放さない。
そこまでが、相談した教師の仕事だと思います。
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